“The topic was agency.”
ここでの agency は「代理店」ではなく、哲学の用語で「自分の意思で考え、選び、行動する力(主体性・行為主体性)」を意味します。人造人間のフランクが「自分は本当に何かを選んだことがあるのか」と悩むきっかけになっています。
B1-03 / CEFR B1 / EPISODE 03
自分の選択について話す
場面哲学講義の後、夕方のカフェ。Frank が Tina に打ち明ける。

Frank stayed late after today's philosophy lecture. The topic was agency. He finds Tina at their usual table.
フランクは今日の哲学講義の後、遅くまで残っていた。テーマは主体性だった。彼はいつものテーブルにいるティナを見つける。
Today's lecture was on agency. I couldn't stop thinking about it.
今日の講義は主体性についてだったんだ。ずっと頭から離れなくて。
That's why you vanished? I waited outside for ten minutes.
それで消えてたの?外で10分待ったのよ。
Sorry. I needed to figure out what was bothering me.
ごめん。何が引っかかってるのか、自分の中で整理したかったんだ。
And? What was it?
それで?何だったの?
Whether I've ever actually chosen anything. Even small things. Do I like black coffee — or did he decide that, before I woke up?
僕が本当に何かを選んだことがあるのか、ってこと。小さなことでもだ。僕はブラックコーヒーが好きなのか——それとも、目覚める前に、彼がそう決めたのか。
Frank. You mean the doctor.
フランク。博士のことね。
If he'd made me differently, would I want different things? A different drink. A different life.
もし彼が僕を違うふうに作っていたら、僕は今、違うものを望んでいるんだろうか。違う飲み物。違う人生。
What you want feels real to me. Your curiosity. The way you check on people. That's yours.
あなたのその想いは、私には本物に感じる。あなたの好奇心も、人を気にかけるところも。それはあなたのものよ。
I almost raised my hand to ask the professor. I couldn't find the words.
教授に聞こうと手を挙げかけたんだ。でも、言葉が見つからなかった。
Tell me what you would have said. I'm listening.
何て言おうとしたのか、私に話して。聞いてるから。
That someone can make you — but they don't get to decide who you become.
誰かが君を作ることはできる。でも、君がどんな人間になるかまでは決められない、ってことさ。
Right. And you're the proof. The waiter's coming — order something the doctor never chose for you.
そうよ。あなたがその証拠だわ。ほら、店員さんが来た。博士が一度も選んでないものを頼んでみて。
One matcha latte, please. ...And one black coffee. Just in case.
抹茶ラテを一つください。……それと、ブラックコーヒーも一つ。念のため。
WORDS & CONTEXT
ここでの agency は「代理店」ではなく、哲学の用語で「自分の意思で考え、選び、行動する力(主体性・行為主体性)」を意味します。人造人間のフランクが「自分は本当に何かを選んだことがあるのか」と悩むきっかけになっています。
check on ~ は「(大丈夫かどうか)~の様子を確かめる・気にかける」という意味です。check だけだと「点検する」の意味になりますが、on が付くと人を気づかうニュアンスになります。自然な意訳は「人を気にかけるところ」です。
get to ~ は「~する機会・権利がある」という意味で、否定の don't get to ~ は「~する権利はない、~させてもらえない」です。can't と違い、「そこまで決める権利は誰にもない」と、相手に主導権がないことをきっぱり言うときの表現です。自然な意訳は「あなたがどんな人になるかまで、決める権利はない」です。